2011年2月18日金曜日

「放浪息子」のすごいところ

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「放浪息子」第5話を視聴したところだ。タイトルにも書いたが、今回もすごかった。
何がすごいのかって、平たく言えばCGの使い方って言い方になるが、アニメの中におけるコンピュータの使い方と言いたい。
ま、すごいと言うと言い過ぎかもしれないが、感心した。うん。

俺は原作者の志村貴子の「青い花」が好きだ。NHKマンガ夜話で取り上げられた時、光の表現が「木漏れ日」の様だと言われていて、深く納得した。
「青い花」がアニメ化されたのを見て、かな~り、良い線いっていると思った。水彩タッチの背景がいー感じで鎌倉っぽさを表現していた。ただ、前景のトレース線の表現はやはり通常のアニメっぽさが残っていた。「青い花」のアニメは、単行本の表紙の彩色画とマンガ本編の線画をミックスした感じで、世界観の表現としての落とし所としては絶妙なバランスだったと思う。

で、原作者つながりで「放浪息子」を見始めたわけだ。するとどうだろう、前景・背景ともにまるで水彩画が動いているようだ。もちろん、アナログ時代のセル方式ではこんな表現は無理だ。動画部分を水彩調にデジタルペイントしているからだ。
背景だって、背景画をスキャンして3D空間内にマッピングしている。これ自体は今では珍しいことではない。最近の学校モノのアニメ作品では教室内の表現としてコンピュータ内に3次元空間を構築していることが多くなった。さらに教室内の小道具として、3次元モデリングされた机や椅子などが配置されている。

多くの場合、この3Dモデルの小道具が背景画をスキャンして構築された空間内で浮いてしまうが、「放浪息子」の場合、3Dモデルの小道具さえも水彩調の空間内でうまく馴染んでいる。今日見た第5話では、夕焼けの中、交差点を左折する3Dモデルの自動車でさえ「水彩空間」内で馴染んでいた。
(この「水彩空間」は「まどか☆マギカ」における通称「イヌカレー空間」にかけているつもり)

どーやってんだろ?一度、全部を空間内に放り込んで、夕焼けをレイトレース法とかで計算して表現しているのだろうか?前景と背景を夕焼け色で塗るのではなく、白昼での発色に対して夕焼け時の太陽光を当てた時の色調を計算で求める、とかね。

そう、それと花火の表現が、今まで見たアニメ作品の中では、最も物理現象に対して自然だった。打ち上げ花火もそうだが、手持ち花火から噴き出す火花や、線香花火のパチパチ弾ける感じも実に自然だった。手持ち花火を両手で振り回すシーンでは人物に明かりが一瞬だけ映り込むところもリアルであり、「水彩空間」内でも不自然ではなかった。

この様に「放浪息子」では「水彩空間」内をいかに自然に見せるかに対してコンピュータが使われている。このさり気無さの追求のためにコンピュータが頑張っているさまを見るのは楽しい。もちろん、人間のスタッフが一番知恵を使っているのは間違い無いが。

アニメにおける計算機の使われ方については他にも色々と思うところがあるので、別の機会にまとめたい。

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