2011年2月26日土曜日

「放浪息子」のすごいところ その2

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「放浪息子」の第6話を見た。
前回の「すごいところ」にも書いたが、今回もアニメにおける表現のリアリティのために”さり気無く”コンピュータが使われていてニヤリとした。

その1:光の表現

体育館の中での文化祭劇のシーン。館内の明かりが落ちて幕が開く。そして、舞台中央に立つジュリエットに両サイドからスポットライトがあたる。このスポットライトの表現がなかなかリアルであった。
ライト本体から細長い円錐状に光線が広がるのだが、距離が離れるにつれて滑らかなグラデーションにて暗くなり、暗くなった先の舞台上のみを明るく丸く照らす。
ここまでであれば、1枚絵の背景をこの様に書くことで表現が可能である。
ところが「放浪息子」の場合は、舞台上の人物の移動をフォローするように、グラデーションのスポットライトが移動する。人物が舞台の左右に移動すれば、両サイドからの光線の長さは不等長になるがその長さに合わせてグラデーションの諧調が変化する。
まぁ、こんなことはコンピュータで処理しないと、まず無理であろう。

また、舞台上から客席を見たときにスポットライトの光源が画面の左右に見えるが、このまぶしい光が視界に入ったときの表現がなかなかリアルであった。(う~ん、表現が難しいなぁ)
ぴかぁっとCCDセンサーのスミアみたいに十字に光るのではなく、また五角形のレンズフレアが出てくるのでもなく、何と言うか眼球でまぶしい光を見ている状態に近い感じがした。

その2:モブキャラ

俺が一番最初に気が付いたのはtrue tearsだった。学校での登下校時に、学生の群集がバラバラに動いているのに気が付いた。良く見ると多少ぎこちなさはあるものの、3Dモデリングされた男女の学生が思い思いに動いている。中には3Dモデリングされた自転車をこいでいる奴もいた。(ムラタセイサク君みたいだね)

true tears以前では、主に自然現象(降雨、降雪、さくらの花びらなど)をリアルに見せるための表現としてCGが使われてきた。ところがtrue tearsではモブキャラをわらわらと動かすためにコンピュータが使われていた。俺はこれを最初に考えた奴はすげぇと思った。
確かに群集のシーンの表現は、俺は作り手ではないが、めんどくさいだろうと思う。
そこで、群集シーンを削るのでもなく、また、1枚絵の登下校風景をパン・ティルトで5秒くらい引っ張ることでごまかす?のでもなく、ちゃんと群集シーンを表現するために知恵を絞ったtrue tearsのスタッフはエライと思う。

で、「放浪息子」第6話では同じくモブキャラをコンピュータで動かしていた。体育館での上演が終わって、一同が外に出てきたところで、体育館と校舎をつなぐ渡り廊下をモブキャラたちがわらわらと一方向に向かって歩いているシーンである。
そして「放浪息子」の場合、このモブキャラでさえも「水彩空間」に馴染んでいた。
もうこうなると、何が前景で、何が背景なのか、訳が判らない。


今回もマニアックな視点で色々と楽しませてもらった。
もちろん、話の本筋もちゃんと楽しんでいるから。

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