2011年2月26日土曜日

「魔法少女まどか☆マギカ」すげぇ その3

「魔法少女まどか☆マギカ」第8話、無事TBSにて視聴終了。
今回もMBS速報をグッと我慢して、全裸で待機。もちろん、ネット上のネタバレ、感想ページも遮断。

おぉ、謎が少し明かされて、さらに謎が増えるw
そしてさらにさやか(青)が「うわぁ。。。」となる。

まどか(ピンク)も少し追い込みをかけられた様子。若干、視聴者をイラつかせるスパイスが効き過ぎな感じもするがw

今回は少し派手めに超展開があるかなぁと期待していたが、全体の印象では割と淡々としていた。
前回の話の延長と思えばある程度の予想の範囲内だ。だがしかし、この落ち着かない感じは何だろう?
「ジェットコースターの下り」と表現されて多少ビビッていたが。。。これが嵐の前の静けさと言うやつなのかぁ?

「うぉ!キュゥべえwwwおまえ何食ってんだwww」

「あぁ。。。魔法少女って、そういう意味なのかぁ。。。」

残りの話数で、ものすごいカタルシスが来る予感w

追記1:
深夜と言うか明け方4時ごろの「Google急上昇ワード」の1位が「インキュベーター」だったw

こんな時間にベンチャービジネスが気になって仕方がない奴であふれているわけじゃなくて、もちろん、もう一方の理化学機器的な意味についてであるwww

追記2:
前回「プレーヤーの中で、全てを知っている奴はいない」と書いたが、どうやらほむら(黒)が知っているっぽい感じである。

関連記事:
(第6話まで)「魔法少女まどか☆マギカ」すげぇ その1(たぶん)
(第7話)「魔法少女まどか☆マギカ」すげぇ その2
(第8話)「魔法少女まどか☆マギカ」すげぇ その3
(第9話)「魔法少女まどか☆マギカ」すげぇ その4
(第10話)「魔法少女まどか☆マギカ」すげぇ その5

(ここで「東日本大震災」が発生)

「魔法少女まどか☆マギカ」この後どうなるの。。。
「まどマギ欠乏症」(俺もだ)
「まどマギ欠乏症」への対処(まどマギ成分補給)
「まどマギ欠乏症」への対処 その2(じゃあ、お薬出しておきましょう)

(第10話、第11話、第12話の放映日決定)

「まどマギ欠乏症」への対処 その3(事態は収束へ向かうのか?)

(第10話、第11話、第12話)「魔法少女まどか☆マギカ」すごかったネ(心地よい余韻とは何だろう?)

「魔法少女おりこ☆マギカ」おもしろいね(同時に、こえぇー)

「放浪息子」のすごいところ その2

関連記事:
「放浪息子」のすごいところ
「放浪息子」のすごいところ その2
「君に届け」のすごいところ

「放浪息子」の第6話を見た。
前回の「すごいところ」にも書いたが、今回もアニメにおける表現のリアリティのために”さり気無く”コンピュータが使われていてニヤリとした。

その1:光の表現

体育館の中での文化祭劇のシーン。館内の明かりが落ちて幕が開く。そして、舞台中央に立つジュリエットに両サイドからスポットライトがあたる。このスポットライトの表現がなかなかリアルであった。
ライト本体から細長い円錐状に光線が広がるのだが、距離が離れるにつれて滑らかなグラデーションにて暗くなり、暗くなった先の舞台上のみを明るく丸く照らす。
ここまでであれば、1枚絵の背景をこの様に書くことで表現が可能である。
ところが「放浪息子」の場合は、舞台上の人物の移動をフォローするように、グラデーションのスポットライトが移動する。人物が舞台の左右に移動すれば、両サイドからの光線の長さは不等長になるがその長さに合わせてグラデーションの諧調が変化する。
まぁ、こんなことはコンピュータで処理しないと、まず無理であろう。

また、舞台上から客席を見たときにスポットライトの光源が画面の左右に見えるが、このまぶしい光が視界に入ったときの表現がなかなかリアルであった。(う~ん、表現が難しいなぁ)
ぴかぁっとCCDセンサーのスミアみたいに十字に光るのではなく、また五角形のレンズフレアが出てくるのでもなく、何と言うか眼球でまぶしい光を見ている状態に近い感じがした。

その2:モブキャラ

俺が一番最初に気が付いたのはtrue tearsだった。学校での登下校時に、学生の群集がバラバラに動いているのに気が付いた。良く見ると多少ぎこちなさはあるものの、3Dモデリングされた男女の学生が思い思いに動いている。中には3Dモデリングされた自転車をこいでいる奴もいた。(ムラタセイサク君みたいだね)

true tears以前では、主に自然現象(降雨、降雪、さくらの花びらなど)をリアルに見せるための表現としてCGが使われてきた。ところがtrue tearsではモブキャラをわらわらと動かすためにコンピュータが使われていた。俺はこれを最初に考えた奴はすげぇと思った。
確かに群集のシーンの表現は、俺は作り手ではないが、めんどくさいだろうと思う。
そこで、群集シーンを削るのでもなく、また、1枚絵の登下校風景をパン・ティルトで5秒くらい引っ張ることでごまかす?のでもなく、ちゃんと群集シーンを表現するために知恵を絞ったtrue tearsのスタッフはエライと思う。

で、「放浪息子」第6話では同じくモブキャラをコンピュータで動かしていた。体育館での上演が終わって、一同が外に出てきたところで、体育館と校舎をつなぐ渡り廊下をモブキャラたちがわらわらと一方向に向かって歩いているシーンである。
そして「放浪息子」の場合、このモブキャラでさえも「水彩空間」に馴染んでいた。
もうこうなると、何が前景で、何が背景なのか、訳が判らない。


今回もマニアックな視点で色々と楽しませてもらった。
もちろん、話の本筋もちゃんと楽しんでいるから。

関連記事:
「放浪息子」のすごいところ
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「君に届け」のすごいところ

2011年2月19日土曜日

「魔法少女まどか☆マギカ」すげぇ その2

「魔法少女まどか☆マギカ」第7話、無事TBSにて視聴終了。
MBS速報をグッと我慢して、全裸で待機。もちろん、ネット上のネタバレ、感想ページも遮断。

う~ん、なんだろ、やっぱすごいね、この脚本。
今回も「ジェットコースターの下り」の様な超展開を期待していたが、いい意味で肩透かし。
びっくりさせる様な派手さではなく、今回はじんわりくる感じ。

ここまでの復習のためにコミックスを見てみると、冒頭でマミさんは「キュゥべえは私のお友達」と言っていたので「実はマミさん(も)黒幕か?」とも思ったりしたが、今日の第7話にて、マミさんは大事なアノことを知らなかったそうだ(とQBが言っていた)。一応、納得する。マミさんいい人だった。

さて今回の第7話で杏子(赤)の印象が変わる。マイナスからのプラスへ。脚本の台詞による誘導が巧みである。
そして物語はさやか(青)をさらに追い込む(うわぁ)
さやかの周りで、色んなことがいっぺんに起こる。ここに来てまさかの伏兵、友人の仁美(緑)でさえ、別の角度からさやかを追い込む(うわぁ)

ただ、これらの事を俯瞰して見ている視聴者だけが全てを知っているので「うわぁ。。。」となる。
今回の第7話は、そんな「うわぁ」の連続で、じんわり”くる”w

この「視聴者だけが全てを知っている」状況をストーリーの流れで構築している点において、この脚本はすげぇと言いたい。まるで良くできた海外TVシリーズものみたいだw

つまり、登場人物(プレーヤー)の中に「全てを知っている」奴がいない。
これがペラい脚本だと「くっ、俺たちは奴の掌の上で踊らされていたのかぁ!」となるところである。
これが当初から言われていた「キュゥべえ黒幕説」の背景・根拠となるだろう。

またペラい脚本はハプニング(偶然)によって物語を動かそうとする。確かにハプニングはきっかけやスパイスにはなるが、これによってストーリーを動かそうとすると、ただ騒がしいだけの話になる。
(ま、「まさにジェットコースター感覚」wと表現された作品を否定する訳ではないが)

この物語に限らず”うまい”脚本は、世界観(仮想空間)の中でプレーヤーが独立してパラレルに考え行動している。この”独立して、パラレルに考えて行動している”ところが重要である。

これでも俺はSEなので、これはまるでマルチスレッドのプログラムの動作にも見える。もしくはマルチタスクOSの稼動状況をモニタしているみたいだ。

そして、各プレーヤーが判断・行動した結果によって、ストーリーが生じる。それを知っている視聴者はより深くハマっていくことになる。

今回の第7話で「全てを知っている奴」がいない(かもしれない)ことが分かったので、キュゥべえがただのプレーヤーに見えてきた(黒幕からの格下げ?)
俺にはほむら(黒)の「そういう生き物だから割り切りなさい」と言う台詞から、キュゥべえは”ただのビジネスマン”に見えてきたw

そして、追い込まれたさやかは段々壊れていく。。。(うわぁ。。。)
その理由を全て知っている俺たち視聴者は「うわぁ。。。」としか言えないのである。

もし「そうなる理由」の中に少しでも違和感を感じたならば、視聴者は「結果」としてのさやかの行動に矛盾を感じるところではあるが、「うん、やっぱり、そうなるよねぇ。。。」と納得するあたりが、この物語のうまいところである。

さて「イヌカレー空間」内で、それを見ているだけのまどか(ピンク)は、この後どうする?
色んな日常が壊れていく中で「逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ」とシンジ君みたいに立ち向かっていくのか?(何に対して?)
そう、この「何に対して」がまだ分からない。まどかが、どう判断して、どう行動するのか?
これから、まどかに対する追い込みがキビしくなっていくんだろうなぁ。。。(うわぁ。。。)

第7話、最後の5分くらいがヤバかった。次回がちょー楽しみ。

関連記事:
(第6話まで)「魔法少女まどか☆マギカ」すげぇ その1(たぶん)
(第7話)「魔法少女まどか☆マギカ」すげぇ その2
(第8話)「魔法少女まどか☆マギカ」すげぇ その3
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(ここで「東日本大震災」が発生)

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「魔法少女おりこ☆マギカ」おもしろいね(同時に、こえぇー)

2011年2月18日金曜日

「放浪息子」のすごいところ

関連記事:
「放浪息子」のすごいところ
「放浪息子」のすごいところ その2
「君に届け」のすごいところ

「放浪息子」第5話を視聴したところだ。タイトルにも書いたが、今回もすごかった。
何がすごいのかって、平たく言えばCGの使い方って言い方になるが、アニメの中におけるコンピュータの使い方と言いたい。
ま、すごいと言うと言い過ぎかもしれないが、感心した。うん。

俺は原作者の志村貴子の「青い花」が好きだ。NHKマンガ夜話で取り上げられた時、光の表現が「木漏れ日」の様だと言われていて、深く納得した。
「青い花」がアニメ化されたのを見て、かな~り、良い線いっていると思った。水彩タッチの背景がいー感じで鎌倉っぽさを表現していた。ただ、前景のトレース線の表現はやはり通常のアニメっぽさが残っていた。「青い花」のアニメは、単行本の表紙の彩色画とマンガ本編の線画をミックスした感じで、世界観の表現としての落とし所としては絶妙なバランスだったと思う。

で、原作者つながりで「放浪息子」を見始めたわけだ。するとどうだろう、前景・背景ともにまるで水彩画が動いているようだ。もちろん、アナログ時代のセル方式ではこんな表現は無理だ。動画部分を水彩調にデジタルペイントしているからだ。
背景だって、背景画をスキャンして3D空間内にマッピングしている。これ自体は今では珍しいことではない。最近の学校モノのアニメ作品では教室内の表現としてコンピュータ内に3次元空間を構築していることが多くなった。さらに教室内の小道具として、3次元モデリングされた机や椅子などが配置されている。

多くの場合、この3Dモデルの小道具が背景画をスキャンして構築された空間内で浮いてしまうが、「放浪息子」の場合、3Dモデルの小道具さえも水彩調の空間内でうまく馴染んでいる。今日見た第5話では、夕焼けの中、交差点を左折する3Dモデルの自動車でさえ「水彩空間」内で馴染んでいた。
(この「水彩空間」は「まどか☆マギカ」における通称「イヌカレー空間」にかけているつもり)

どーやってんだろ?一度、全部を空間内に放り込んで、夕焼けをレイトレース法とかで計算して表現しているのだろうか?前景と背景を夕焼け色で塗るのではなく、白昼での発色に対して夕焼け時の太陽光を当てた時の色調を計算で求める、とかね。

そう、それと花火の表現が、今まで見たアニメ作品の中では、最も物理現象に対して自然だった。打ち上げ花火もそうだが、手持ち花火から噴き出す火花や、線香花火のパチパチ弾ける感じも実に自然だった。手持ち花火を両手で振り回すシーンでは人物に明かりが一瞬だけ映り込むところもリアルであり、「水彩空間」内でも不自然ではなかった。

この様に「放浪息子」では「水彩空間」内をいかに自然に見せるかに対してコンピュータが使われている。このさり気無さの追求のためにコンピュータが頑張っているさまを見るのは楽しい。もちろん、人間のスタッフが一番知恵を使っているのは間違い無いが。

アニメにおける計算機の使われ方については他にも色々と思うところがあるので、別の機会にまとめたい。

関連記事:
「放浪息子」のすごいところ
「放浪息子」のすごいところ その2
「君に届け」のすごいところ

2011年2月17日木曜日

「魔法少女まどか☆マギカ」すげぇ その1(たぶん)

いゃ~「まどか☆マギカ」、すごいねっ。今の時点では第6話まで視聴したところだ。

これまで、第3話のアレは結構衝撃的で、ネットでもずいぶん話題になっていた。
で、話は進んで第6話、ほんっと、久々に「あっけにとられた」と言う感じだ。
終わる直前の10分ほどは、あまりの超展開に、手で口を押さえたままであった。
「ちょwwwキュゥべえwwwおぃwww」

脚本によると「これからさらにジェットコースターを下る」そうだ。
やっべ、続きがちょう楽しみだ。

関連記事:
(第6話まで)「魔法少女まどか☆マギカ」すげぇ その1(たぶん)
(第7話)「魔法少女まどか☆マギカ」すげぇ その2
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(第10話)「魔法少女まどか☆マギカ」すげぇ その5

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2011年2月14日月曜日

LAMEの高音質設定について

関連記事:LAMEパラメータの見直し

以前から、非可逆圧縮音声ファイルの作成にはLAMEを使っている。そしてLAMEのフロントエンドとしてはEACを使っている。
EACは手持ちのCDを丸ごとリッピングする他にも、1曲単位でMP3化する場合でも起動して使用している。LAMEに渡すコマンドラインはEACの「エンコードオプション」に設定済みである。

少し前の話になるが、LAMEの高音質向けパラメータの設定について色々と試したことをチラシの裏に書いておく。
この話のゴールは、LAMEにおける”高音質”パラメータのセッティングを見つけることにある。

以下に前提条件を挙げる。
  • 俺的”高音質”とは、可能な限りオリジナルに近いこと
  • 出力ファイルのサイズは無視する
  • 基本的に屋外での視聴用である
可能な限りオリジナルに近いことを求めるのであれば可逆圧縮を使えば良いのだが、ポータブル機器やカーオーディオなど、PC以外では可逆圧縮フォーマットのサポートが少ない。
(全てをAppleでそろえろ、と言うツッコミはなしだ)

現在、家の車はケンウッドのMP3対応カーオーディオである。
車内におけるMP3再生音のチェックのために、ビリー・ジョエルのベスト盤2枚組みCDを1枚のCD-Rに焼いたことがあった。
「おぉ、これじゃあCDチェンジャーユニットいらねーじゃん」 と感嘆したものだった。
最新のカーオーディオではFlac対応が広がりつつある。搭載されるマイコン(CPU)のパワーに余裕ができたのだろうか。
出力ファイルのサイズを無視することについては語るまでもないだろう。保存メディアの単価の下落を考えれば、数十MB程度のサイズの違いは気にしないことにする。

その1:ビットレートについて

一般に「128か192kbpsで充分だよ」と言われるが、俺の場合、192k以下はオリジナルとの違いがはっきり認識できてしまうので、192k以下は無理だ。
(自分がゴールデン・イヤーを持っていると言う自慢ではないので、誤解の無きように)

となると、選択肢は 256k、320k となる。ほとんどのMP3対応機器の上限が320kだからである。
実際に色々なジャンルの曲をピックアップして、256k、320k の聴感テストを実施したところ、やっぱり256kでももの足りない。一番わかり易いのがシンバルの音で、高音のキラキラ感や叩いた後の残響音がどうしても不自然に感じる。
320kについては、オリジナルのWAVファイルと聞き比べることで違いが分かるが、屋外での視聴を考えると、これ以上追求しても無意味なレベルにあると言える。
と言うことで、LAMEによる出力は320kbpsとすることにした。

その2:VBR or CBR

俺的には、VBRは出力ファイルのサイズを減らす目的として使うものとしか考えていない。もしかすると、音質に対して何らかの影響を与えるのかもしれないが、ここでは追求しない。
CBRにて最初から最後まで同じビットレートを使うことは無駄なのかもしれないが、先の前提条件としてファイルサイズは無視している。また、固定ビットレートの方が可変ビットレートよりも、MP3ファイルのデコード処理に必要なプロセッサ負荷が低いのでは?と考える。
プロセッサ負荷が低いと言うことはポータブル機器においてバッテリーの持ちに影響すると考えている。
従って、LAMEによる出力は固定ビットレート(CBR)とすることにした。

その3:各種のフィルター処理について

LAMEのホームページや、LAMEに付属するドキュメントを読むと、”音響心理”的な処理によって色々と頑張っていることが書かれている。
平たく言えば、「どーせ聞こえないんだから、データを削っても問題無し!」となる。
先の前提条件では、限りなくオリジナルに近いことを目指している。つまり、いかに優れたロジックであっても、勝手にデータを削られては困るのである。
そこで、各種のフィルター処理を全く使用しない設定を探ることにした。
(LAMEの開発者の方々には申し訳ないが、こういうユーザーもいるってことで)

ここからが本当のセッティング地獄の始まりである。 ドキュメントのコマンドラインの説明を何度読んだことか。
いい加減、パラメータ編集にも飽きたころ、ふと、思い出した。そーだ、LAMEはオープンソースだったじゃないか!処理の内容が分からなかったら、ソースを読めば良いのだ!
と言うことで、俺はLAMEのソースを読み始めたのだった。

結論から言うと、プリセットパラメータの”--preset insane”が目的の処理に使えることが分かった。
俺はソース中で各種フィルターの設定に用いる構造体を見つけた。コマンドライン引数から”insane”が渡された場合、この構造体の各メンバーには 0.0 もしくは 1.0 が設定されることが分かった。
つまり、パラメータとして 0 もしくは 1 が設定された各種の処理フィルターは”何もしない”のである。
また”--preset insane”は、同時に CBR、320kbps となるので、俺の狙い通りとなり、願ったり叶ったりである。
ところで、各種の音響心理的処理と、ハイパス・ローパスフィルターは区別されているので、続いて、2つのパスフィルターを無効にする。
これには”-k”オプションを使用するが、これは Ver 3.97 までの話で、Ver 3.98 以降では廃止されてしまった。そこで、この”-k”オプションの代わりを探した時の話がこれである。

その4:エンコード品質について

エンコード品質については”-q”オプションでコントロールされる。ドキュメントによると、エンコード品質は、エンコード時の速度とのトレードオフになるそうだ。
とは言え、今時のPCであれば演算のための計算機資源は充分であるので、「一番良いやつで、頼む」となる。
”-q 0”と指定すると、最高品質でエンコードしてくれるそうだ。但し、ドキュメントによると「”-q 0”の指定は多少バギーかもね(てへ)」と書いてある。
しかし、俺は”-q 0”を指定するとLAMEが落ちるとは考えていない。丁度、JPEG圧縮のように、アルゴリズムとデータの内容によっては、偽色やノイズが発生するようなものと考えている。
つまりLAMEの場合ではオリジナルに無い音(ノイズや別の音)が発生することだと思う。
ただ、JPEG圧縮の例の場合、圧縮率が高い場合に色々な不都合が顕在化するので、俺のLAME設定の場合、圧縮率は充分に低いので、多分大丈夫だと思い込む。
と言うことで、エンコード品質は”-q 0”と指定することにする。

その5:結論

先の前提条件と、これまでの調査・実験結果より、俺的LAMEパラメータ設定は、
  • CBR、320kbps
  • 音響心理的アルゴリズム:全てOFF
  • ハイパスフィルター、ローパスフィルター:全てOFF(使用しない)
  • エンコード品質:最高品質
となった。

このパラメータ設定をLAMEのコマンドラインで表すと、
  • (Ver 3.97まで) -k -q 0 --preset insane
  • (Ver 3.98以降) -q 0 --preset insane --highpass -1 --lowpass -1
となる。

その6:備考

何事にしても、自分だけのセッティングを見つけると言う行為は、男子たるものの宿命なのだろう。
(全ての男子とは言わないが)

良い意味での”こだわり”か、悪い意味での”こだわり”と言う自己満足か、そのどちらもだろう。
こうしてブログに書き留めておくのは、自分自身のため(チラシの裏)であり、”こだわり”を持った他者へのメッセージでもあるのだろう。

関連記事:LAMEパラメータの見直し

2011年2月10日木曜日

LAMEパラメータの見直し

関連記事:LAMEの高音質設定について

久々にLAMEのパラメータ設定を見直してみた。

今まではEAC + LAME (Ver 3.97)で320kbpsのMP3ファイルでライブラリ化していた。
今日までVer 3.97を使い続けていたのには訳がある。

今まではEACの「エンコード オプション」にて、
-k -q 0 --preset insane %s %d
としていた。(なお、%s %d はEACのオプションである)

-k は、フィルタを使用せずに全てのバンド幅を対象とするパラメータである。
ところがLAMEのVer 3.98以降は-kパラメータが使用できなくなってしまった。

少し前に、Ver 3.98における-kの代替案をテストしたが、当時はどうしてもLowpassフィルタをdisableにできなかった。-kが使えないことで少し焦っていたようだった。

今日は少し頭を冷やして、ソースコードからあたることにした。
最新のVer 3.98.4のソース一式をDLして、全ソースファイルに"argc"にて検索をかけた。すると、main.c、parse.cがヒットした。

parse.cを参照すると、確かに、-k使用時のエラーメッセージがあり、そのそばのコメントに
Highpass、Lowpassパラメータに-1を渡せ
と書いてあった!

そこで、新しく --highpass -1 --lowpass -1 と指定すると、-kの使用時と同じく”ポリフェーズ ローパスフィルタ OFF”と表示された。(パチパチ)

続いて、エンコード結果の検証を行なった。
テストデータとして、クリス・レアの「オン・ザ・ビーチ」を使って、周波数スペクトルを調べた。

図1:オリジナル

図2:LAME Ver 3.97

図3:LAME Ver 3.98.4

いずれのエンコード結果も、中低音域のスペクトル波形はオリジナルとほぼ同じとなった。
高音域(16k~20k)ではVer 3.98.4の方がオリジナルに近いスペクトル波形となった。


ということで、これからはVer 3.98.4のLAMEを使うことにする。

そしてEACの「エンコード オプション」は、
-q 0 --preset insane --highpass -1 --lowpass -1 %s %d
とする。

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