2011年4月3日日曜日

江頭2:50△(エガちゃん、すげぇよ) プロジェクトを成功させるためのFEMA論

ここのところ、地震関係のエントリーばかり書いていて、いい加減、自分でも食傷ぎみであった。
でも、震災直後にエガちゃんがとった行動は、マジで尊敬だ。

細かいことは面倒くさいからここでは書かないが、ググればわかると思う。
放射性物質が飛び散っている時に、いわき市の老人ホームに、文字通り体を張って物資を届けたのである。

ネット上では「売名行為だ」「安全な所から金だけ送って『応援している』奴らは見習え」などの意見があるが、エガちゃんが実際にとった行動に対してのみ考えるのであれば、これらの意見は的外れであり、物事の本質を捕らえていない。

エガちゃんは、必要な時に、必要な物を、必要な場所に、的確に届けることができたのである。

つまり、これをひとつのプロジェクトだと考えれば、
  • 情報の収集
  • 情報の分析
  • 計画立案
  • リソースの手配(人、物、金、手段など)
  • 実行
などが、全て正しく機能した結果、プロジェクトの成果が得られたのである。

これらを短期間のうちに実行できたことは、エガちゃん本人や周囲の関係者が冷静な判断を下せるクールな頭を持ち続けたためでもあろう。

熱い気持ち(パッション)は、行動のきっかけやモチベーションの維持に必要だが、今回の例では「緊急通行車両確認証明書」を手配するなど、プロジェクトの成功に必要な「段取り」を計画するだけの冷静さが必要である。
アドレナリンが噴き出す状況下であってもクールでなければ、気持ちだけが上滑りするだけである。
「熱いハートとクールな頭」とは良く言われることだ。

そして、これらの事を短期間のうちに実行できたことこそが最大のポイントである。

アメリカには「FEMA(Federal Emergency Management Agency)アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁(wikipedia)」と言う機関がある。
ハリケーン・カトリーナの際のニュース映像でもよく見かけたし、フィクションでは「Xファイル」にも出てくる。
少し前になるが、ディスカバリー・チャンネルでFEMAが現場を仕切るドキュメンタリーも見た。

世代的に判り難い例えかもしれないが、このFEMAは要するに「サンダーバード1号」なのである。

いち早く現地に駆け付けて、現地対策本部を立ち上げる。
そして、あらゆる状況に対して冷静な判断と的確な指示を「素早く」出すのである。

緊急事態下では、全ての事象において「正確さ」と「スピード」が要求される。
これらはトレードオフできない。どちらも必要なのである。
そして、FEMAのような人たちはストレス下における「正確さ」と「スピード」に対する訓練を積んでいる。

映画「ボルケーノ」では、主人公(トミー・リー・ジョーンズ)がそれこそ臨機応変に現場を仕切って、困難な状況を乗り切っていく様子が描かれている。
超人的な能力を発揮するスーパーヒーローではなく、訓練を積んだプロフェッショナルが等身大の人間として、自然災害(またそれに起因する二次災害)に立ち向かっていくのである。

ここでFEMAの例を持ち出したのは理由がある。
連日報道される政府の対応のグダグダっぷりに、俺を含めた国民が呆れているのである。

但し、俺は民主党だけがマズいとは思っていない。
政権交代前の自民党だったとしても大して変わらないだろうと思う。

要するに、統括的に危機管理を行なうプロフェッショナル・エキスパートがいないのである。

個々の組織(警察、消防、自衛隊、医療機関、電気、ガス、水道、通信など)では「それぞれの緊急事態」に対する危機管理体制があり、それらに対する訓練もあるとは思うが、連携が取れていないために非効率な運用となっている。
そしてその結果として、全てが後手となり、状況をさらに悪くしている。

地震、そして、その後の津波は、不謹慎かもしれないが、まぁ仕方ないと言うしかない。
自然災害だから、人知を尽くして備えるしかない。
ただ、その後の原発事故の始末の悪さは人災と言われても仕方ないくらいの場当たり的であり、その被害と規模はシャレにならない。

非常事態では現場にいるFEMAに権限が集約される。
軍や警察、消防、医療機関、民間企業もみんなFEMAの言うことを聞き、協力する。
また、情報の収集・分析のために、対象となる分野の学識者もFEMAに協力する。

これが日本の場合、「原子炉に詳しい」先生方はテレビ局のスタジオで原子炉の断面図を示して、原子炉による発電の仕組みから我々に解説してくださる(これは言うまでもなく皮肉だ)

ただ「そんな解説している暇があったら現地に協力しろ」とは言い難い。たぶん、役に立たないだろう。。。

先生方は、原子炉が壊れたら「どうなる」は判ると思うが、壊れたら「どうしたら良いか」については考えたことがあるのか疑問だ。

これは想像の範囲を超えないが、原子力学会?では事前の安全性については論じられているだろうが、事後の対策について研究している学者はいるのだろうか?
またその研究者がいたとしても、その知見が現場に届くだろうか?

仮に、事後の対策についての研究者が存在したとして、また、その知見が現場に届いたとしても、それを実行に移すにあたり「組織の壁」が邪魔をすると言うオチが容易に予想できる。

震災の初期の頃、ネット上では枝野官房長官を指して「日本のジャック・バウアー」と言われた。
危機的状況下で、孤軍奮闘する様がそのように例えられたのである。

ただし、本物?のジャック・バウアーは、文字通り目的のためには手段を選ばないのに対して、日本のジャック・バウアーは「超法規的措置」は(表面上は?)取らないのである。

今回のような大震災の場合、多少のことは目をつぶっても、もしくは事後処理するとしても、危機的状況を乗り越えるための行動力をもった個人・組織があっても良いのではないかと思う。

改めて考えると、エガちゃんをリーダー?とする「組織」が、物資を届けると言う「プロジェクト」を成功できたのは、冷静な判断に裏打ちされた行動力の結果であり、無理、無茶、無謀な行動ではないことが良く判る。
「許可書」を申請したり、コストコの上の人に話しをつけたスタッフ(たち)が優秀なのだと思う。

これでも俺はSEなので、プロジェクトの状態の良い時/悪い時を経験している。
カリスマリーダーだけのプロジェクトはうまくいかない。
また、優秀なメンバーを集めただけでも、うまくいかない。

各分野のエキスパートによる「全員野球」ができた時が最強だ。
これはリーダーシップとメンバーシップが相互に機能している状態だ。

但し、エガちゃんのプロジェクトの規模は1箇所の老人ホームが限度である。
これは言うまでもなく非難ではなく、事実である。

広範囲、かつ長期間に渡る支援を継続的に実施するには、FEMAのような組織を頂点とした大規模な体制が必要である。

日本版FEMA論は以前からあったようだが、結果として、間に合わなかったのが残念である。

阪神・淡路大震災、東日本大震災、と経験を重ねて、いよいよこれから日本版FEMAの設置に向けての議論が現実味を帯びてくるだろう。

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